「鉄の不安」リカルド・フロレス・マゴン

原文:The Anxieties of Iron(1915年)


山の頂を踏みしめる足音を感じて、その山のふところで、鉄は身震いした。

「人間だ。私を探しに来たのだ」

鉄の分子は、苦悶と快感が入り混じった感覚で激しく震えた。

足音は力強く響きわたった。
自然に挑み、人間に必要なものを取り返さんとする、恐れを知らぬ者の足取り。

「私を何に使うつもりなのか?」
気高き金属は不安げに自問した。
そして、自らが骨格を成す山全体が震えた。

「考えるだけで身震いする……
 私は不正の道具にされるかもしれない。
 進歩と自由のための燃料であるべきこの私が!」

一瞬の静寂のあと、山の背を打つつるはしの音が、はっきりと響いた。

「やはり人間だ。
 彼は私を、誰かを引きずる足かせに変えるつもりかもしれない。
 あるいは牢屋の格子や監獄の閂に変えるのか……」
鉄の分子は、怒りと義憤とに震えた。

つるはしの打撃は続いた。
その反響は、まるで巨人が背中を打たれて呻いているようだった。

「あるいは、抗議の声を喉元で潰すために、暴君が使う破片弾かもしれぬ。もしかしたら、私はギロチンになって、処刑人が書いた法律に逆らう者の首を落とすのか……」

つるはしは打ち、打ち、打ち続けた。
山は、巨神の拳に押し潰される無力な怪物のように呻いた。

「ああ、なんという苦しみ!
 この残酷な宙吊りの時間よ! 
 私は足かせや格子や錠前にはなりたくない。
 私は破片弾になりたい、だがそれは人民の手にあってこそだ。
 圧政者を吹き飛ばすために。
 私はギロチンになりたい、だがそれも反逆者の手にあってこそ。
 虐げる者の首を落とすために。
 私は拍車となるかもしれぬ、だが、くつわに変えられるかもしれぬ。
 私は突き動かし、制御する。
 私は命を与え、命を奪う――鋤にもなれば剣にもなる。
 鋭い刃として、軍人の手にあれば奴隷を生む。
 が、人民の手にあれば自由を生む。
 私は善にも悪にも使われる。
 銃の引き金になって、フェレールを殺す呪われた弾丸を撃ち出すこともあれば、カナレハスを葬る祝福された銃弾を放つこともある。
 マウラの手では、私は地獄のしもべ。
 パルディニャスの手では、私は正義の奉仕者。
 私の輝きは、命であり、死でもある。
 アンジョリーヨの拳銃で輝く私は、希望の光となり、
 警官のバッジの上で輝けば死の青白さとなる。
 私は何になるのだ?
 私は、いったい何になるのだ?」

つるはしは打ち、打ち、打ち続ける。
山は震え、大地は揺れ動く。
自然は、鉄の苦悩になんの関心も払わぬまま。


訳注: